This post is also available in: 日本語 (Japanese)
流行のリーンスタートアップの本です。リーンスタートアップというと、シリコンバレーなどのIT系企業の起業方法が中心だと思われると思いますが、元々はトヨタのカンバン方式などを参考にアレンジされた方法で、幅広い業種で応用可能です。
Running Lean ―実践リーンスタートアップ (THE LEAN SERIES)
スタートアップを起業する際の最大のリスクは「誰も欲しがらないものを作ること」にあるので、ユーザーが欲しいものを作る方法を見つけるための手順が書いてある本です。
ポール・グレアム(Y Combinatorの創業者。スタートアップ初期へ投資するベンチャーキャピタルなどで有名)が言うような「ビジネスのプロ」ではなく「ユーザーに関してのプロ」になるという言葉の実践方法が具体的に書かれています。
ポール・グレアムについては過去の記事「スタンフォード大学講義の要約:How to Start a Startup-Lecture 3 by Paul Graham :要約」を参考にしてみてください。
例えば、ユーザーが欲しいものを予約販売するなどして、ある程度の収益を予想してから製品の開発を始めるとバクチではなくなるなどの方法です。物の卸売業に例えると、最初に売り先を確定してから商品を仕入れるというリスクが少ない方法を取ります。
製品を作ってから販売先を探す(この方法を取る企業もある)のではなく、販売先を探してから製品を作るという方法は、スタートアップ企業でなくても使える方法です。
例えば、製品のデモをスライドや動画などで作って先にユーザーに見てもらい、反応が良ければ製品開発に取り組むという手法です(ゲーム会社のジンガなどが使っているそうです)。
また、PSF(プロダクト・ソリューション・フィット)・PMF(プロダクト・マーケット・フィット)の段階で具体的に何をしたら良いかの道しるべとなっている点でも良い本です。
PSF(プロダクト・ソリューション・フィット)・PMF(プロダクト・マーケット・フィット)以外にもUVP(ユニーク・バリュー・プロポジション)やMVP(ミニマム・バリュー・プロダクト)などについても、著者が実際にプロダクトサービスをローンチする具体例に合わせて学ぶ事ができます。
特にそれぞれの段階によるユーザーインタビューの仕方が勉強になり、インタビュー具体的な手順や文言まで書いてある本はなかなかありません。
その他、ビジネスモデルキャンパスでスケーリング(事業拡大)する際のビジネスモデルの穴(欠点)を事前に検証する方法について書いてあったりします。
ビジネスモデルキャンパスはビジネスモデルジェネレーション(ビジネスモデル・ジェネレーション ビジネスモデル設計書
)という本の内容を参考に著者のアッシュ・マウリャが改良したツールです。