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勉強すればするほど、奥が深いボラティリティについてです。
ボラティリティとは、資産(個別株や先物、コモディティ等)の変動率のことを言います。
本記事は、株式投資をする際に参考になる日経平均株価のボラティリティや関連するテクニカル指標、その特徴や使い方についてのメモです。
Contents
日経平均株価のHV(ヒストリカル・ボラティリティ)とは?
HV(ヒストリカル・ボラティリティ)とは、過去の日経平均株価の終値の前日比の変動を計算した指標です。
ざっくりと、HV(ヒストリカル・ボラティリティ)の使い方は?
HV(ヒストリカル・ボラティリティ)は、株式投資では一般的に、特に売買のタイミングを計る指標ではなく、以下のように2つのパターンで使われる場合が多いです。
1.日経平均のレンジ予想
2.日経平均の反発予想
1.日経平均のレンジ予想
日経平均の終値が過去n日間に上下した振れ幅の平均をとっているので、
・日経平均の終値が過去n日間に±20%以内に、78%の確率で収まっていた。だから、今度とも大きな変化要因(ファンダメンタルや為替など)がなければ、同じような動き方をする可能性がある。
などのような使い方をします。
HV(ヒストリカル・ボラティリティ)の問題点としては、計算に統計学でいう標準偏差という方法を使っているので、いわゆる異常値・外れ値(平均から大きく外れた値)の値は取り除かれている点です。
相場では統計学とは違い、急な下落や上昇などの平均からはかけ離れた異常値・外れ値も重要となるので、HV(ヒストリカル・ボラティリティ)を参考にする時には注意が必要です。
また、過去の動きが将来も継続されるわけではありませんので、あくまで目安になるというだけです。
2.日経平均の将来の反発予想
HV(ヒストリカル・ボラティリティ)は過去の統計から一定のレンジ幅を上下する傾向があることが知られています。
また、日経平均(というか株式市場)は上がる時には小刻みにゆっくりと上がっていき、日経平均が下がっていく時には急激に下がる傾向があります。
それに関連して、日経平均が上げてる時にはHV(ヒストリカル・ボラティリティ)は下がっていき、逆に日経平均が下げていく時にはHV(ヒストリカル・ボラティリティ)が急に上がっていく傾向にあるといわれています。
上のグラフを見る限り、絶対ではないけれども、ある程度はそんな傾向があるといえるかもしれません。(急にボラティリティが上がっている部分は、リーマンショックの時の影響です。)
結果的に、「一定のレンジ幅を上下する傾向」と合わせて推測すると、過去のHV(ヒストリカル・ボラティリティ)のレンジ幅の上限・下限に近くなり、なおかつHV(ヒストリカル・ボラティリティ)のレンジが小さくなっている時には、日経平均の転換点が近いと考えられています。
ボリンジャーバンドとは?
このボリンジャーバンドも統計学でいう標準偏差とその誤差に基づいて計算されている指標です。
ボリンジャーバンドの使い方は?
ボリンジャーバンドとは有名なテクニカル指標の一種で、トレンドが出ていて相場が一定方向に動く時には順張り、レンジ相場の場合には逆張りとして使われることが多いです。
元々はブレイクアウトのために作られたテクニカルツールのようですが、主に逆張りからの転換を狙う指標としてよく使われているみたいです。
±1σの線の間で動く確率→約68.3%(上記の画像では±1σは省略されています。)
±2σの線の間で動く確率→約95.5%
±3σの線の間で動く確率→約99.7%
過去の日経平均の値動きに対する「±1σ、±2σ、±3σ」の線の間で動く確率からシグナル(売買のタイミング)を捕らえます。
トレンドが出ている時には「+2σから+3σ」の間に突入したら買いシグナル、「-2σから-3σ」の間に突入したら売りシグナルと判定します。
逆にレンジ相場の場合で、今後もレンジ相場が続くと予想される場合には、「+2σから+3σ」の間に突入したら売りシグナル、「-2σから-3σ」の間に突入したら買いシグナルと判定します(俗にいう逆張り)。
想定どおりに動かなかった場合には、相場の読み間違いなので「±2σ~±1σ」の間に突入した時に損切りを行います。
要するに、順張りの場合でも逆張りの場合でも、日経平均株価が「+2σから+3σ」「-2σから-3σ」の範囲に突入している時というのは、統計学の標準偏差からかけ離れた「外れ値」なので、普通の状態ではないと判断するという使い方をします。
ATR(アベレージ・トゥルーレンジ)とは?
HV(ヒストリカル・ボラティリティ)が終値をベースに統計をとっているのに対して、ATR(アベレージ・トゥルーレンジ)は、その日の「最大の値動き」を基準として統計をとっています。
ATR(アベレージ・トゥルーレンジ)の使い方は?
ATR=トゥルー・レンジのN日間の移動平均(証券会社のツールによって、Nは自由に設定できたりします。)
トゥルーレンジは、以下の1~3のうち最大の値幅によって決まります。
1.当日高値-当日安値
2.当日高値-前日終値
3.前日終値-当日安値
日経平均株価は基本的に日経平均先物取引主導によって値動きが変化します。
日経平均先物は夜中にも取引されているため(しかも夜中にだいたいトレンドが出る)、日経平均の始値と終値にはかなりの違いが出ます。
そこで、ATRを使うことによって、おおよその日経平均の最大レンジ幅が予想することができます。
ボラティリティをベースした投資手法の基本
上記のボラティリティの話を応用すると、基本的な投資戦略がおおよそ3つに分けられます。
「レンジブレイクアウト」「押し目買い・戻り売り」「逆張り」です。
個人的に、株式投資初心者の場合には「押し目買い・戻り売り」の投資方法は一般的にあまりおすすめされていません。
相場を読み間違った時のリスクが大きいのに対して、期待できる利益が小さいからです。
投資の方法とかは本に書かれている内容に任せるとして、ボラティリティを勉強するにあたって重要なことは「ボラティリティを理解することで、損失のリスクがある程度予測でき、また投資のタイミングを図ることができる」という点にあると思います。
投資手法は、その時の相場の感じや、個人の性格・受け入れるリスクなどによって相性がありますので、自分に合った投資方法を探すのが良いかと思います。
「レンジブレイクアウト」を知るのにおすすめの投資本
過去に書いた記事では、ウィリアム・オニールという著者が書いた本を2冊おすすめしています。
古い本ですが、雑多な事が多い株式投資の本を読むよりか何倍も勉強になります。
[過去に書いた記事]
株初心者におすすめの本:オニールの成長株発掘法
[過去に書いた記事]
初心者にオススメ投資本レビュー:オニールの相場師養成講座
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伝説のファンドマネージャーが教える株の公式
元々、ヘッジファンドの中にいた人が書いた、株の銘柄選びのテンプレートを教えてくれる本です。
本の題名にもなっているように株の銘柄選びの「公式」が書いてあり、レンジブレイクアウト投資手法の教科書です。
まぁ、公式どおりいかないのが株式相場なんですが、「やってはいけないことを知り損失を最小限に抑える」ために読むという感じでおすすめです。
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私は株で200万ドル儲けた (PanRolling Library 16)
「ボックス理論」という、レンジブレイクアウトについての投資本。
俗に古典と呼ばれる部類の本で、著者が1950年代に投資したときの投資手法について書かれています。
単に読み物としても面白いのですが、投資した内容やその時の気持ちなどが詳細に書かれていますので、レンジブレイクアウト投資をする時のイメージが掴みやすいかと思います。
特に、レンジブレイクアウト狙いの投資手法は成功確率が低い(その代わりに成功したときの利益が大きい)ので、それに対してどのように向かい合うかという点が勉強になります。
「逆張り」を知るのにおすすめの投資本
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勝率98%3点チャージ投資法完全攻略ワークブック―売られすぎ銘柄の底値がズバリわかる
逆張りのテクニカル指標の使い方というのが良く分かる本です。
テクニカル分析の指標はたくさんありますが、この本に書かれているテクニカル(RSI/移動平均乖離率/ボリュームレシオ)+αで十分だと思います。
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