中小企業の経営資源の選択と集中-事業ポートフォリオとポジショニング

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ビジネスの現場で中小企業の方のマーケティングのお手伝いをしていると、マーケティング戦略において「付け足す」ということは得意でも「切り捨てる」ということが不得意なケースが多いように感じます。

例えば、新規事業を行うときにブレストなどしてアイデアをたくさん出してサービスや機能を「付け足す」まではいいのですが、そのあと成功要因に必要なもの以外は「切り捨てる」ということがなかなかできずに、従業員の作業量だけ増えてそのままビジネスが失速してしまうケースなどが典型例です。
本記事では中小企業の経営資源の選択と集中、その中でも重要な事業ポートフォリオとポジショニングについて書いています。

企業全体から見た経営資源の選択と集中

企業全体(全社戦略)から見て経営資源(人・物・金・情報)の選択と集中を行うということは、経営資源は有限なので本質的には優先しない事業を切り捨てるということになります。

経営資源の選択と集中を行うことによって、短期的には企業全体の利益は下がるかもしれないが、長期的には経営資源を集中した事業の利益が上がるという予測に基づいて行います。

経営資源が限られている中小企業では、事業間でよほどのシナジー効果が期待できない限りは、経営資源を一点集中するべきです。

利益になりそうなタネがあればとりあえず手をつけてみるっていう考え方も重要ですが、定期的にビジネス全体を俯瞰して捉えて、経営資源を集中する事業の優先順位を決めていく必要はあります。

ビジネスの優先順位が決まっていないと、利益が出ていないのに(効率が悪いのに)「なぜか経営資源が足りない」という状況になってしまいます。経営資源が足りないことが原因で主軸事業に経営資源を裂くことができず、主軸事業がダメになってしまう恐れもあります。

経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)と時間は有限なので、どこかで投資(リスクに対して期待できる利益を計算)をして、長期的に考えて利益が上がりそうな事業を絞り込んでいく判断が必要となります。

事業ポートフォリオとポジショニング

事業ポートフォリオとポジショニングの重要性については、コンサルティング会社のマッキンゼーの調査結果が参考になります(コンサル万歳とは言いませんが...)。

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調査結果では「ヨーロッパの大企業の成長パフォーマンスの違いを分析したところ、ポートフォリオモメンタムが43%、M&Aが35%、市場シェアが22%を占めることが分かった」とあります。
この数字の割合は業界によっても変わってくるとも書いていますので、あくまで一例として。
参考引用:http://www.mckinsey.com/insights/growth/the_granularity_of_growth

ポートフォリオモメンタム:事業セグメントのポートフォリオのパフォーマンスのこと
M&A:事業の合併・買収のこと
市場シェア:そのまんま市場シェアのこと

この調査結果より、市場シェアを獲得している大企業でさえポートフォリオモメンタムとM&Aの合計が成長パフォーマンスの約80%を占めるということだと考えることができます。
市場シェアを獲得していることが前提ですが。

この結果を単純化して考えると、悪いポジショニングにいる時には経営戦略や判断が正しくとも利益が出ないということです。逆に、良いポジショニングにいる場合には、多少経営戦略や判断が良くなくても利益が出やすいということです。

さらに単純化すると、悪いポジショニングの市場シェアをどれだけ獲得しても成長パフォーマンスには影響は少ないということです。

従って、企業の成長パフォーマンスをあげようと思ったら、良いポジショニングを探し出し経営資源を集中することに注力するべきです。この際に成長パフォーマンスに影響が少ない事業とそれに関連する業務は勇気を持って「切り捨てる」必要があります。

About
Kuniyoshi Takemoto is the founder of Amelt.net LLC, and editor of this blog(www.amelt.net).Learn more and follow me on LinkedIn.