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相続放棄に関連したシステム開発をしていた際に調べた資料のメモを、記事として整形し公開しています。
Contents
- 1 相続放棄とは?
- 2 相続放棄の期限は?
- 3 相続放棄をするには?
- 4 相続放棄の注意点は?
- 5 相続放棄の方法は?
- 6 相続放棄の手続きに必要な書類とは?
- 7 相続放棄の申請書は?
- 8 相続放棄を管轄する裁判所は?
- 9 相続放棄申述受理通知書とは?
- 10 相続放棄申述受理証明書とは?
- 11 相続放棄の手続きとは?
- 12 相続放棄の流れは?
- 13 相続放棄の費用は?
- 14 相続放棄は生前にできるの?
- 15 相続放棄を兄弟全員でできるの?
- 16 相続放棄をしたら借金はどうなるの?
- 17 相続放棄をしたら生命保険(死亡保険金)はどうなるの?
- 18 相続放棄のやり方は?
- 19 相続放棄の弁護士の費用は?
- 20 相続放棄のデメリットは?
- 21 相続放棄の順位は?
- 22 相続放棄の範囲はどこまでなの?
- 23 相続放棄の代襲相続とは?
- 24 相続放棄しても遺族年金は受け取れるの?
- 25 相続放棄して固定資産税は支払う必要があるの?
- 26 相続放棄は郵送でできるの?
- 27 相続放棄の確認方法は?
- 28 相続放棄したら相続税はかかるの?
- 29 相続放棄すると孫はどうなるの?
- 30 相続放棄で葬儀費用はどうなるの?
相続放棄とは?
相続放棄とは簡単に説明すると、相続人となった方が債務(借金)が多いなどの理由で、亡くなった方(被相続人)の財産の相続を放棄することを言います。
相続放棄をする理由は「債務超過(借金が多い)ため」「遺産の分割で揉めたくないため」「相続人になりたくない」「他の人に相続財産をまとめたい(同族会社の株式とかですね)」などさまざまな理由があるようです。
自身が相続人であることを知った日より3ヶ月以内の期間に限定承認もしくは相続放棄のどちらかを選択しなかった相続人は単純承認とみなされるようです。
限定承認とは...亡くなった方(被相続人)の債務(借金)がどれくらいあるのか不明だけれども、プラスの財産が残る可能性もある場合などに、相続人が相続によって得た財産の限度で被相続人の債務の負担を受け継ぐ事。ただし、相続人全員が共同して行う必要あり。
単純承認とは...相続人が亡くなった方(被相続人)のプラスの財産や債務(借金)などをすべて受け継ぐ事。
3ヶ月以内の期間に相続人が被相続人の相続財産の状況を調査してもどうするか(相続を承認するのか放棄するのか)を判断できる資料が得られない場合には、3ヶ月の期間を伸長することができるようですので、詳しくは専門家(弁護士)にご相談ください。
相続放棄の期限は?
相続放棄の手続きの期間は、自分自身が相続人であることを知った日より3ヶ月以内の期間とされています。
ただし、その3ヶ月以内の期間に相続人(自分自身)が被相続人(なくなった方)の相続財産の状況を調査しても、相続を承認するのか放棄するのかを判断できる資料が得られない場合には、3ヶ月の期間を伸長することができるとされています。
3か月は長いようで短いので、相続放棄の手続き方法や相続放棄申述書の書き方は早い目に調べておくことをおすすめします。
相続放棄をするには?
相続放棄をするには、自身に相続があることを知ってから3ヶ月以内の期間に、亡くなった方(被相続人)の最後の住所を管轄する家庭裁判所に相続放棄の申請(申述)をする必要があります。
自分で相続放棄をする場合には、必要書類を揃えた上で、相続放棄申述書の書き方を調べて、作成したりします。
自分で相続放棄をするのは難しいと感じて専門家に依頼する場合には、弁護士や司法書士に依頼することになります。
ちなみに、弁護士と司法書士に依頼した場合の違いですが、司法書士は基本的に必要書類の収集・作成代行業務だけになりますが、弁護士は司法書士の業務に加えて法律相談や他相続人との交渉も任せることができるという違いがあります。
ここらへんの話は「相続放棄の費用は?」の項目で費用面について比較してますので、もくじに戻って参考にしてみてください。
相続放棄の注意点は?
相続放棄をするにあたっての注意点は以下のようになります。
相続放棄申述書の書き方を調べる前に、けっこう気をつけるべき点が多いです。
また、相続放棄が複雑なケースでは、必ず専門家(弁護士)に相談してから対応することをおすすめします。
- 相続放棄は、自身に相続があることを知ってから3ヶ月以内の期間に申請(申述)をする必要がある
- 知らないうちに単純承認したとみなされないよう、医療保険など、被相続人(亡くなった方)が受取人の保険金受取りには気をつける
- 相続放棄のやり直し・撤回などができないので、被相続人(亡くなった方)の財産状況をよく調べてから行動をする
- 相続放棄は被相続人となる方の生前には出来ない
相続放棄の方法は?
相続放棄を行いたい場合、自身に相続があることを知ってから3ヶ月以内の期間に、亡くなった方(被相続人)の最後の住所を管轄する家庭裁判所に相続放棄の申請(申述)をする必要があります。
その相続放棄の申述には、自分で相続放棄を行いたい場合には、必要な書類を揃えた上、相続放棄申述書の書き方に沿って、相続放棄申述書を作成したのちに家庭裁判所に提出(申述)します。
相続放棄の手続きに必要な書類とは?
相続放棄する場合、裁判所に提出する「相続放棄申述書」は必須の書類です。
その他「亡くなった方(被相続人)の戸籍謄本」「相続放棄をされる方の住民票(本籍地の記載入り)」などが必要となりますが、どのような書類が必要なのかは、相続する方が被相続人との関係性(配偶者・子供・父母祖父母・兄弟姉妹)によって変わります。
また、相続放棄申述書の書き方についてですが、基本的には必要書類を集めた上で、その書類の情報を相続放棄申述書に書き写していく作業となります。
相続放棄の申請書は?
相続放棄に際して管轄裁判所(亡くなった方の最後の住所を管轄する家庭裁判所)に提出する申請書は「相続放棄申述書」と呼ばれます。
相続放棄申述書の書き方は、管轄裁判所に相続放棄の申請を行う際に必要となる「亡くなった方(被相続人)の戸籍謄本」などの書類の情報を書き写します。
相続放棄を管轄する裁判所は?
相続放棄を管轄する裁判所は、亡くなった方が最後に住んでいた場所を管轄している家庭裁判所(管轄裁判所)となります。
管轄裁判所に、相続放棄申述書とその他必要書類を提出して相続放棄の申請(申述といいます)を行います。
相続放棄申述受理通知書とは?
相続放棄申述受理通知書とは、相続放棄の手続きが済んだ後に裁判所から送られてくる書類です。
次の項目にある相続放棄申述受理証明書とは別のものです。
相続放棄申述受理証明書とは?
相続放棄をすると、相続放棄の証明書の交付を受け取ることができます。
相続放棄申述受理証明書と相続放棄申述受理通知書は言葉は似ていますが別のものです。
相続放棄申述受理証明書は第三者に対して、相続放棄をした事を証明したりする為の書類で、裁判所に申請する事で何度でも交付を受けることが可能な書類です。
相続放棄の手続きとは?
相続放棄の手続きの流れについては次の項目で説明しています。
相続放棄の手続きは、自分自身が相続人であることを知った日より3ヶ月以内の期間に、亡くなった方が最後に住んでいた場所を管轄している家庭裁判所に対して、必要書類を提出して相続放棄の申述を行います。
必要書類に関しては、もくじより「相続放棄の手続きに必要な書類とは?」の項目を参考にしてみてください。
相続放棄の流れは?
相続放棄の手続きの流れについて簡単に説明しています。
- 必要書類を用意する
- 相続放棄申述書を作成する
- 相続放棄申述書と必要書類を管轄裁判所へ提出する
- 受付後に裁判所から送られてくる照会書に必要事項を記入して返送する
- 手続きに問題がなければ、裁判所から相続放棄申述受理通知書が届く
- この時点で相続放棄の手続きは完了
- 必要があれば、相続放棄申述受理証明書を裁判所に申請する
相続放棄の費用は?
相続放棄の手続きを自分行いたい場合
相続放棄の費用は自分行いたい場合、一般的には以下のような費用がかかります。
この場合、費用面では安くなりますが、裁判所に提出する相続放棄申述書は書き方などを自力で調べて、自分で作成する必要があります。
- 収入印紙・切手代...合わせて1200円くらい
- 戸籍取得の費用...合わせて1200円くらい
相続放棄の手続きを専門家(弁護士や司法書士)に依頼する場合
専門家(弁護士や司法書士)に依頼する場合には、一般的には以下のような費用がかかります。
費用に関しては一見安く見えても、後で色々と料金が乗っかってきて、結果的に高くなってしまう場合などがあるようですので注意は必要です。
また、
「相続放棄の手続きを依頼するのは一人だけなのか?複数人なのか?」
「相続があることを知ってから3ヶ月以内の期間なのか?過ぎているのか?」
などの諸条件によっての相続放棄の費用は変わるようです。
また、司法書士は必要書類の収集・作成代行業務だけになりますが、弁護士は法律相談や他相続人との交渉も任せることができるというメリットがあります。
- 相談料...専門家によりけり
- 収入印紙・切手代...合わせて1200円くらい
- 戸籍取得の費用...合わせて1200円くらい
- 相続放棄申述書の作成...一人当たり3万円~くらいから
- 相続放棄に関する法律相談や他相続人との交渉(弁護士のみのサービス)...弁護士によりけり
相続放棄は生前にできるの?
相続放棄は、被相続人(相続される方)の生前にはすることはできません。
生前にできる対策としては、遺留分(一定の相続人が最低限相続できる財産の事)の放棄したり、遺言状を作成したりする事などがあります。
また、被相続人の借金などが理由で相続放棄を考えている場合には、被相続人に生前に債務整理などを行ってもらうようお願いする場合などもあるようです。
生前に対策を考えている場合には、弁護士などの法律の専門家に早いめに相談する事で選択肢が広がる場合が多いようです。
相続放棄を兄弟全員でできるの?
兄弟全員で相続放棄をすることはできます。
法定相続人が相続放棄をすると、被相続人(亡くなった方)との関係性(第一順位、第二順位、第三順位)で、相続に関する権利義務のすべてが同順位、次順位に移ります。
第一順位(配偶者、子)、第二順位(直系尊属つまり被相続人の父母・祖父母)、第三順位(被相続人の兄弟)となります。
例えば、被相続人(亡くなった方)に債務があるケースで法定相続人全員が相続放棄の申述を行った場合には、債権者は裁判所に相続財産管理人の選任を求めるというような流れになるようです。
相続放棄をしたら借金はどうなるの?
法定相続人が相続放棄をすると、被相続人(亡くなった方)の借金(加えて相続に関する権利義務のすべて)は、同順位、次順位の法定相続人に移ります。
順位は第一順位から第三順位まであり、第一順位が配偶者や子供、第二順位は直系尊属である被相続人の父母・祖父母など、第三順位は被相続人の兄弟となります。
第三順位の法定相続人まで全員が相続放棄を行うと、相続人はいない状態となり、その場合には債権者(被相続人にお金をかしている者)は裁判所に相続財産管理人の選任を求めて、プラスの財産などを清算するという流れになるようです。
相続放棄をしたら生命保険(死亡保険金)はどうなるの?
生命保険(死亡保険金)の受取人が、被相続人(亡くなった方)になっているのか、もしくは相続人(相続放棄をした相続人)になっているのかによって変わるようです。
専門家(弁護士)に相談してから対応することをおすすめします。
・生命保険(死亡保険金)の受取人が被相続人(亡くなった方)になっている場合には、相続人(相続放棄をした相続人)は相続に関する権利義務のすべてを放棄した事により、最初から相続人でなかったとみなされるので生命保険(死亡保険金)は受け取ることはできないようです。
・生命保険(死亡保険金)の受取人が相続人(相続放棄をした相続人)になっている場合には、生命保険(死亡保険金)は相続財産に含まれませんので、相続放棄したかどうかに関わらず受け取れるようです。
相続放棄のやり方は?
相続放棄のやり方は状況によって変わりますが、おおよそ以下のような流れになります。
相続放棄が複雑なケースは専門家(弁護士)に相談してから対応してください。
- 相続放棄をするかどうか決める(自分自身が相続人であることを知った日より3ヶ月以内)
- 亡くなった方が最後に住んでいた場所を管轄している家庭裁判所(管轄裁判所)を調べる
- 相続放棄に必要な書類(亡くなった方の戸籍謄本など)を用意する
- 管轄裁判所に提出するための相続放棄申述書を作成する
- 相続放棄申述書と必要な書類を管轄裁判所へ提出する
- 受付後に裁判所から送られてくる照会書に必要事項を記入して返送する
- 手続きに問題がなければ、裁判所から相続放棄申述受理通知書が届く
- この時点で相続放棄の手続きは完了
- (必要があれば)相続放棄申述受理証明書を裁判所に申請する
相続放棄の弁護士の費用は?
相続放棄を依頼する弁護士によって変わりますが、おおよそ数万円~10万円程度が相場です。
また、司法書士に相続放棄を依頼する場合はおおよそ数万円~5万円程度が相場のようです。
弁護士に依頼するメリットとしては、「司法書士は必要書類の収集・作成代行だけだが、弁護士は法律相談や他相続人との交渉を任せることができる」という点にあります。
相続放棄のデメリットは?
相続放棄のメリットは「マイナスの財産を相続しなくて良い」「相続の揉め事を避けることができる」などですが、相続放棄のデメリットについては以下のような点があります。
- 相続に関する権利義務のすべてを放棄することになる
- 相続放棄のやり直し・撤回などができない
- 相続に関する権利義務のすべてが他の相続人に移る
相続放棄の順位は?
法定相続人が相続放棄をすると、被相続人(亡くなった方)との関係性(第一順位、第二順位、第三順位)によって、相続に関する権利義務のすべてが同順位もしくは次順位に移ります。
第一順位は「配偶者、子」、第二順位は「直系尊属つまり被相続人の父母・祖父母」、第三順位は「被相続人の兄弟姉妹」となります。
ただし、代襲相続といって、順位の通りにいくと法定相続人になるはずの人が亡くなっている場合等、その下の世代などに相続権が移る場合があります。
状況が複雑な場合には専門家(弁護士)に相談してから対応してください。
相続放棄の範囲はどこまでなの?
法定相続人が相続放棄をすると初めから相続人とならなかったものとみなされるので、前項の「相続放棄の順位は?」の内容の通り、被相続人(亡くなった方)との関係性(第一順位、第二順位、第三順位)によって、相続に関する権利義務のすべてが同順位もしくは次順位に移ります。
そして、相続権が第三順位の「被相続人の兄弟姉妹」にまで移っていき、最終的に法定相続人が誰もいなかった状態とみなされますが、代襲相続といって、順位の通りにいくと法定相続人になるはずの人が亡くなっている場合等、その下の世代などに相続権が移る場合があります。
例えば、相続の権利が第三順位の「被相続人の兄弟姉妹」に移った場合において、「被相続人の兄弟姉妹」は既に死亡しているが子がいる場合には、法定相続人となるようです。
状況が複雑な場合には専門家(弁護士)に相談してから対応してください。
相続放棄の代襲相続とは?
相続放棄の代襲相続とは、本来法定相続人となる人が相続の権利が発生する前に既に死亡している場合等、その下の世代(子)に相続権が移ることを言います。
なので、本来法定相続人となる人が健在で相続放棄をした場合には、その下の世代(子)にその相続放棄をした相続権について代襲相続することはありません。
相続放棄しても遺族年金は受け取れるの?
相続放棄しても、遺族年金は「相続財産」とはみなされないので、受給できます。
また、遺族年金を受け取ることで単純承認とはならないようです。
相続放棄して固定資産税は支払う必要があるの?
相続放棄すると初めから相続人とならなかったものとみなされるので、被相続人(亡くなった方)の固定資産税や滞納していた税金などについても支払う必要はありません。
相続放棄は郵送でできるの?
相続放棄の必要書類を裁判所に提出する事は郵送でもできるようです。
相続放棄の確認方法は?
自分以外の相続人が相続放棄をしているかどうかの確認は、被相続人(亡くなった方)最後に住んでいた場所を管轄している家庭裁判所に対して相続放棄の申述の有無を申請(相続放棄受理申述証明書の交付の請求)をする方法があります。
相続放棄の申述の有無を申請(相続放棄受理申述証明書の交付の請求)することができるのは、当事者又は利害関係を疎明した第三者(債権者等)と定められています。
また、自身が相続放棄していることを第三者に証明するには相続放棄申述受理証明書を裁判所に申請する事で何度でも交付を受けることが可能です。
相続放棄したら相続税はかかるの?
相続放棄した場合、相続税は基本的にかかりません。
ただし、相続放棄をしたとしても、被相続人(亡くなった方)の死亡保険金の受取人になっていた場合には、税制上「みなし相続財産」として相続税の課税対象になるようです。
また、その他相続人の相続税の計算については、相続放棄すると初めから相続人とならなかったものとみなされるので、相続放棄をした人数を除いた上で計算されることになります。
相続放棄すると孫はどうなるの?
被相続人(亡くなった方)の子が相続放棄をした場合、孫に相続の権利が移ることはなく、被相続人(亡くなった方)との関係性(第一順位、第二順位、第三順位)によって、相続に関する権利義務のすべてが同順位もしくは次順位に移ります。
第一順位は「配偶者、子」、第二順位は「直系尊属つまり被相続人の父母・祖父母」、第三順位は「被相続人の兄弟姉妹」となります。
ただし、代襲相続といって、被相続人(亡くなった方)の第一順位である「配偶者、子」が、相続の権利が発生する前に既に死亡している場合等には、その下の世代(孫)に相続権が移ることがあります。
相続放棄で葬儀費用はどうなるの?
相続放棄をしたい場合には、葬儀にて受け取った香典の範囲内で、不足があれば自分の財産を利用して葬儀費用を支払うというのが無難な対策のようです。
被相続人(亡くなった方)の相続財産を処分する事によって葬儀費用を支払う場合には、単純承認とみなされるかもしれませんので注意が必要です。
過去の裁判所の判例では、葬儀費用を被相続人(亡くなった方)の相続財産から支払った場合には、身分相応程度の葬儀費用であれば、単純承認には当たらないとされているケースもあるようです。