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コマツ産機(小松製作所の子会社)を2年で経営改善した事例をベースとした、ドキュメンタリー風の物語です。
経営本というよりかは小説に違い感じですが、書かれている内容は具体的な経営改善方法と改善を進めていく中で起こる問題や社内の空気感など、事細かに説明されています。
著者の三枝匡さんは事業再生やベンチャーキャピタルの経営を行ってきた方で、本書の内容も実際に三枝匡さんが現場で経験した事を元に作られています。
最近ではFA(ファクトリー・オートメーション)などを手がけるミスミグループで活躍されていることでも有名です。
増補改訂版 V字回復の経営―2年で会社を変えられますか
本書の内容はドキュメンタリー風に描かれていますので、読んでいてお腹が痛くなったくらいに結果に対するプレッシャーと焦燥感が伝わってくると同時に、死に物狂いになって夢中に取り組んでいる熱い感じがすごく伝わってきます。
実際に自分が現場で経験しているかのような感覚になり、楽しんで読むことができました。
ビジネスにおいても大いに役立つ内容で、実際の企業の経営改善を実行して、新しい体制にするための事細かな手順や方法を学ぶ事ができます。
特に大企業ではたくさんの「経営者を含めた従業員」が関わってくるので、新しい体制にする際の大きな問題のうちの一つに「従業員の感情の問題」があります。そして、沈み行く船に乗っているのにも関わらず危機感のない従業員をどのように巻き込んでいくのかという点が一番の壁となることを教えてくれます。
所々で、従業員や改革チームなどの「あの時私はどう思ったか?」という心の内を回想するシーンがあり、経営改善のどの段階で、どのような反発が出て、どのように対処するべきかなどの解説も書かれています。
実際にビジネスの現場で組織を改革しなければいけない状況になった時に非常に勉強になる内容であると共に、ビジネス系のドキュメンタリーとして読むだけでも非常に面白い本です。