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起業で【あきらめない】こととよく言われますが、一方で【撤退はできるだけ早く】というビジネスの掟もあります。
あきらめようかどうしようか迷った時、どのように考えたるのがいいのか?過去の経験を元に書いてみようと思います。
Contents
起業における【あきらめない】と決める時の判断について
【あきらめないこと】には2つのケースが存在する
【あきらめないこと】には2つのケースが存在すると思います。
1つは、あきらめるのが早すぎて、ビジネスが上手くいくか行かないかも分からないうちにやめてしまうケースに対して、あきらめずに続けたほうがいいと思う場合。
この意味での「起業をあきらめない」というのが、一番メジャーです。
それに対して、2つめ。
ビジネスを立ち上げ、サービスをリリースしてからある程度の期間が経っても尚、上手くいっていない場合には、あきらめるかあきらめないかは結構切実な問題です。
この場合に重要なのは「戦略の方向性が合っていそうかどうか?」という点に尽きます。
戦略の方向性が合っていそうかどうか?
「合っていそうかどうか...」と微妙な表現になってしまうのは、結局は「どんなビジネスで、どんな戦略が正しいのか」は誰もわからないからです。
ただ、事業戦略を考え、いま行っているビジネスの先の方向性を段階を踏んで予測することで勝率を上げる事は可能です。俗に事業方向転換(ピボット)と呼ばれます。
自分のビジネスの戦略の方向性を考えた結果、ビジネスが上手く行きそうだと感じたならあきらめずに続けるべきですが、上手くいきそうに無いな・・・と感じたならば、それは早々とあきらめて撤退すべき時かもしれません。
別記事「スタンフォード大学講義の要約:How to Start a Startup-Lecture 20 スタートアップ後期のアドバイス」で意訳しているスタンフォード大学での起業についての講義でもありますが、上手に失敗するというのは大切です。
質問:
(この講義クラスで)たくさんのスタートアップの成長について話したが、ほとんどのスタートアップは失敗する。上手いこと失敗する方法について何かアドバイスはありますか?
答え:
良い質問だ―(中略)―もし失敗したのなら何よりも先ず投資家に伝えるべきで、次に全部お金を使い果たすべきではない。―(中略)―"上手く行きそうにない"と伝えても(投資家は)誰も驚かないだろう。
起業はあきらめなければ必ず成功するというのは、正しくもあり間違ってもいます。
もちろん、あきらめずに続けていれば、
天才! 成功する人々の法則
上記のマルコム・グラッドウェルの一番時間の法則的なノリで「熟練」はするかもしれませんが、その時にエンドユーザーが顕在的・潜在的に求めているものは「熟練」したあなたのサービスなのか?という点は、一度立ち止まって考えるべきことです。
上手くいかないビジネスの仕組みは、作り直すのにもの凄い手間と労力がかかります。
それならば、ゼロから新しいビジネスの仕組みを作り直すほうがよっぽどスムーズです。
ちなみにビジネスの仕組みに関しては、過去記事「事業の仕組み化:個人事業主として起業しようとする方への1つの提案」で書いていますのでぜひ参考にしてください。
あきらめないと決める時の指針
とはいっても、ビジネスをあきらめずに継続するか、それともあきらめるのかを判断するのはとても難しい「賭け」です。
決定的な方法というのはありませんが、頭を冷やして、客観的に自分のビジネスについて考えられる状態の時に、以下のようなチェックを行ってみてください。
忘れないで欲しいのは、利益はエンドユーザーがお金を支払って生まれるものなので「エンドユーザーがどう思うか」が全てです。
自分がどう考えているかではなく、エンドユーザーがどう思っているかだけが判断材料となり得ます。
自分の直感は当たっていそうか?
自分の心の中に「もしかしたら、直感がハズれてるかな…」と不安に思ったときには、徹底的にその原因を探ってみましょう。
単なる不安なら良いのですが、上手くいかない気がしているのなら、どこかの歯車が上手く回っていないのが原因かもしれません。
他の人にビジネスプランを話した時の反応はどうか?
斬新なサービスは顧客自身も欲しいのが分かっていない場合もありますが、利益が生まれるのは顧客がお金を支払ってこそなので、参考にしてみましょう。
またもしかしたら、市場タイプ(新規市場・既存市場)の定義を間違えているかもしれません。
顧客にサービスの感想を聞いてみた時の反応はどうか?
既に顧客がいる場合、根掘り葉掘り、色々と本音で語ってもらいましょう。
もしかしたらビジネスのボトルネックが見つかるかもしれません。
まとめ:
上手くいかないビジネスを「あきらめる」という言い方はネガティブなイメージを受けますが、良く言えば「不採算事業の早期撤退、そして経営資源を伸びる事業に集中させる」という意味です。ほとんどの新規事業は上手く行かないので、上手に失敗するというのは非常に大切なスキルとなります。
上手くいかないのが「あきらめるのが早すぎるのか」それとも「戦略的に間違ってるっぽい」のか、見極めるのは難しいし心理的な苦痛も伴いますが、もし「不採算事業の早期撤退、そして経営資源を伸びる事業に集中させる」のを選ぶ時には、それを糧に新しいことにチャレンジしていって欲しいと思います。